千葉和彦税理士事務所 塩釜市玉川1-2-40

提出期限迫る!・・「特例事業承継税制」
(令和2年12月)

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  令和5年3月31日に提出期限が迫っている「特例事業承継税制」・・皆さんの会社では検討がお済みでしょうか?まだ時間があると問題を先送りしていると特例の適用が受けられない事態にもなりかねません。「特例事業承継税制」は今が決断の時です。経営者の中には10年以内に提出すればよいと勘違いされている方もいるので、更に注意が必要です。この10年以内というのは、2018年1月1日から2027年12月31日までの10年間に発生した贈与または相続が特例適用の対象となるということであり提出はあくまでも令和5年3月31日であることを再確認していただきたいと思います。


   この届け出は、すでに後継者が決まっているか、または、まだ確定はしていないが、何人か候補がいる場合にしか使えません。まだ候補者も決まっていない方はこの機会にしっかりと「事業承継全体」を考えなければなりません。もう問題の先送りは許されません。この届け出を検討している経営者は、最初に「自社株評価」をする必要があります。この制度は、高くなり過ぎた自社株にかかる贈与税、相続税を納税猶予してあげようとするものですから、あまり高くない場合は無理してこの制度を活用する必要はありません。何故ならこの制度はあくまでも「納税の免除」ではなく「納税の猶予」なので、将来にわたって、諸条件の縛りがついてきます。手続きも専門家に依頼すると費用も当然かかります。(この場合、認定経営革新等支援機関の資格を持つ専門家に依頼する必要があります。)


  あくまでも私見ですが、経営者の方の所有する株式評価が最低でも1億円を超えるような場合にこの制度の活用を考えてみてはいかがと思います。それ以下の場合は、自社株式評価の引き下げ対策をしながら暦年贈与をおこなうなどの対策を行った方が将来にわたる維持管理コスト(認定申請後5年間は毎年と都府県庁と所轄税務署に届け出を提出、その後3年に一回は税務署に継続届出を出し続けなければなりません。)を考えても費用対効果が良いと思います。


  この制度を活用して後継者にいつ贈与するか迷われている方は、とりあえず届け出だけでもしてはいかがでしょうか。届け出は令和5年3月31日が期限ですので、念のため出しておいて、その後じっくりと考えるのも一つの方法です。たとえ届け出だけで実行しなくても何の罰則もありませんので。


  いずれにしましても、国内の中小企業の三分の二が後継者不在と言われているこのよう状況を考えれば、この制度の活用は勿論大事ですが、その前にしっかりと後継者を育てることをしないと日本の中小企業の技術やノウハウ、雇用が喪失されてしまうのではないでしょうか。今こそ真剣に事業承継問題に取り組むことがすべての中小企業に強く求められています。中小企業の将来は、日本の将来ともいえると思います。応援しています。





2020年11月30日(月) 著 者 税理士  千葉 和彦